『ハンガリー戦役1944-45』(Jコマンド誌100号付)を、よりヒストリカルに

(コマンド誌100号)ハンガリー戦役1944-45
(仏Vae Victis誌78号)HONGRIE 1944-45

 もうすぐ「独ソ戦ソリテイア(コマンド別冊)」に「ワーテルローの黄昏(GJ誌)」、12/20には「Battle for Germany+帝都決戦(コマンド誌)」と立て続けに出るので、その前に気になっていたハンガリー戦役における、堀場さん発案のバランス調整(枢軸軍の補充一切無しで)を検証してみた。
(日本版選択ルール(CL倍/砲兵共用と簡易航空)は2つとも採用)

両軍の初期配置:枢軸軍は初期配置の装甲師団をフルスタックさせてオーバーランをちらつかせ、ソ連軍は戦線西端部へ可能な限りの兵力シフトができるように配置。ソ連軍の歩兵やCLも戦略移動できるので意外に早くシフトできる。
『ハンガリー戦役1944-45』(Jコマンド誌100号付)を、よりヒストリカルに_b0173672_23571675.jpg
前回(→詳細はこちら)は、初期配置(最前線)の独軍を全て減少戦力面(残り1ステップ面)で配置する方法を検証してみたが、今回は初期配置はそのままで、枢軸軍のステップ補充(陸軍/空軍)は一切無いという方法を検証。なお、勿論CL〈兵站駒〉は規定通りもらえるものとする。
『ハンガリー戦役1944-45』(Jコマンド誌100号付)を、よりヒストリカルに_b0173672_23561595.jpg

 前回の枢軸軍は、毎ターン撤退して戦線を短縮化しつつ遅滞作戦を展開したが、今回は戦力に自信があることから、できる限り前進防御してみた。逆にソ連軍は枢軸軍のステップ回復がないことから、枢軸軍にステップ損害を与える事を第一に考えての攻撃とした。一点突破の全面展開が売りのソ連軍ではあるが、下手に突出して無為にオーバーランを喰らうよりは、確実に敵を除去していって枢軸軍が戦線を張れなくなる時を待つ作戦でいく。この場合、序盤は史実と比べて進撃スピードが落ちるかも知れないが、敵の兵力が削り取られてからの進撃の早さを考えると、トータルでは史実とほぼ同じ展開になると思われる。
 なお、ソ連軍は戦闘機の傘の下で、もっぱら高比率戦闘のみ実施し、兵力の消耗を最小限にとどめる戦法でいく。その為、第5、6ターンの戦線崩壊時のような好機は別として、戦線全体で3、4箇所しか攻撃せず、また独軍も滅多に攻撃しないので、ターン進行は実に早い。基本的に移動・戦闘の繰り返しで、斬新なシステムもなく、ルールは簡単な部類に属する、ある意味ミニゲームに近い感覚だろうか。その意味ではハーフマップというサイズ的にもソロプレイに向いている。
『ハンガリー戦役1944-45』(Jコマンド誌100号付)を、よりヒストリカルに_b0173672_2356343.jpg

『ハンガリー戦役1944-45』(Jコマンド誌100号付)を、よりヒストリカルに_b0173672_2356503.jpg

第8ターン(45年1月末)終了時の盤面
 初期配置の独軍が完全戦力面なので、序盤は堅くて手が出せないが、4ターンになってソ連第3ウクライナ方面軍司令部が登場してからは、CLが大量投入できるのもあって、さしもの枢軸軍戦線も5ターンには破断界に達し、第6ターンには戦線崩壊。7ターンの「コンラート」作戦用増援で何とか戦線を構築。装甲師団フルスタックはナニカニジャ油田に迫るソ連軍突出ユニットにオーバーランを敢行するも思ったほど比が上がらず頓挫。続くソ連軍ターンに逆包囲される。ただしソ連軍も最前線に近いのはHQひとつきりで、補給下にできるユニット数上限18では機械化と親衛歩兵をかろうじて補給下にできただけで、あとは補給切れに苦しむ(戦線が急に進むとこうなる)。
 やはり枢軸軍は最初から一気に後退し、ユニットの温存を第一に考えて、ソ連軍が前進し過ぎて先鋒が補給切れになる頃を見計らって反撃するなり、ドナウ河西岸に築かれるであろうソ連軍橋頭堡を潰して廻るなり機動予備的な運用に務めるのがベストか。
『ハンガリー戦役1944-45』(Jコマンド誌100号付)を、よりヒストリカルに_b0173672_23575447.jpg

第8ターン(45年1月末)終了時のブダペストからバラトン湖戦線:ブダペストは包囲こそされていないが、最低限の兵力で薄すぎる防衛線であり、ソ連軍の進出ライン的には史実より1ヶ月遅れているように見えて、針でつつけば破裂する風船の如き脆さ。これぞ末期戦を戦う独軍といった悲哀をたっぷり味わえた。
『ハンガリー戦役1944-45』(Jコマンド誌100号付)を、よりヒストリカルに_b0173672_2358974.jpg

第8ターン(45年1月末)終了時までの両軍除去ユニット:あと6ターンを残してこの損耗量はキツイ。やはり前進防御は失敗だったか。
『ハンガリー戦役1944-45』(Jコマンド誌100号付)を、よりヒストリカルに_b0173672_23582534.jpg

by ysga-blog | 2011-11-27 23:53 | CMJ100ハンガリー戦役'44-45記 | Comments(0)
<< 早速ソロプレイしてみた「独ソ戦... 2011.11.20..YSG... >>