➌(VG)The Korean War,Coldest Winter Boot Campは続く...2ターン以降に導入される増援・空襲・侵攻上陸、第三次世界大戦への緊張度について

上級ルール必須のキャンペーンゲームにおいて、国連軍プレイヤーが第2ターン冒頭から直面する、クソ分かり難いルールが『国際緊張度(グローバル・テンション)』である。

 これには(単純化のために意訳するが)「国連軍増援の到着スケジュールとその量」「空襲許可範囲」「侵攻上陸/海上撤退可能数」の3つが絡む。
 個々の解説は後述するとして、これらの各レベルによって、第三次世界大戦の勃発へ近づく国際緊張度の増加判定値が決まる。
 ちなみに緊張度がレベル7に達して第三次世界大戦が勃発すると北鮮がサドンデス勝利(世界が破滅しようが北鮮にとっては朝鮮動乱への米国の関心-世界大戦でそれどころじゃない-が無くなれば勝ち)となる上、そうでなくとも、毎ターン緊張度レベル×5VPが国連軍のVPからマイナスされる。
 サドンデス勝ちが起きなければゲーム終了時に最低でも168VP稼いでいなければ国連軍は勝てないので、緊張レベルが4とかに達して毎ターン20VP差し引かれると厳しいわけだ。
➌(VG)The Korean War,Coldest Winter Boot Campは続く...2ターン以降に導入される増援・空襲・侵攻上陸、第三次世界大戦への緊張度について_b0173672_15135304.jpg
▼具体例として、標準的な設定値を挙げてみたい。
 単純化のために意訳するが「UNインターベンション=国連軍増援の到着スケジュールとその量」を「UNルール・オブ・エンゲージメント=空襲許可範囲」は「USモビライゼーション=侵攻上陸/海上撤退可能数」はとした場合、それぞれのレベルの下に記載された危険(DV)数を合計する。
 これを毎ターン冒頭、写真左上の『国際緊張度(グローバル・テンション)判定表』に当てはめてダイスを振り、そこで求めた数値分だけ緊張レベルが上昇することになる。
 この例示の場合、それぞれ「12」「16」「4」となり合計すると「32」となる。緊張度判定表を見ると、31~34の縦列で、修正後出目6以上で1レベル緊張度が上がる事が分かる。
 修正値としては北鮮プレイヤーが毛沢東に台湾侵攻を促すとダイス+1、中共軍の大規模介入以降+1、ソ連軍介入以降+1、国連軍プレイヤーが蒋介石国府軍の朝鮮投入を決定すると+1があり、修正は全て累積する。
➌(VG)The Korean War,Coldest Winter Boot Campは続く...2ターン以降に導入される増援・空襲・侵攻上陸、第三次世界大戦への緊張度について_b0173672_15135399.jpg
※空襲許可範囲レベルを示すのに使っている金色のピンバッジは、東アフリカ・ジブチ派遣から帰国された占さんからお土産に戴いたフランス空軍派遣隊の徽章。朝鮮戦争とは考証的に異なるが、無事の任務完了を祝って使用しておきたい。

▼国連軍は第2ターン冒頭の国連関与フェイズにおいて「UNインターベンション=国連軍増援の到着スケジュールとその量」を決定しなければならない。
 下の自家製チャートを見てもらえば分かるとおり、1~6のレベルに従って、毎ターンの国連軍増援が決まる。
例えばレベル4の第3ターンなら、航空任務フェイズ(AMP)開始時に増援D(AMPで貰えるのは必ず航空機増援)、第1行動フェイズ開始時に増援E、第2フェイズ開始時に増援Fが、投入可能となる。
国連軍の地上軍増援は各フェイズ1個師団を上限として港湾に揚陸されるか、侵攻上陸アクションによって上陸させる事でマップ上に現れる(第4ターンから貰えるかもしれない韓国軍師団だけは直接、釜山か大田に湧く)。
 レベル1は論外として、一気にレベル6(WW3危険度24)を最初から選択する事もできるが、レベルを上げることはできても、下げることはできないので、一気に上げていると国際緊張度がヤバいことになりかねない。
➌(VG)The Korean War,Coldest Winter Boot Campは続く...2ターン以降に導入される増援・空襲・侵攻上陸、第三次世界大戦への緊張度について_b0173672_15144878.jpg
▲上は増援スケジュールとその増援内容(一部) ▼増援スケジュール表拡大
➌(VG)The Korean War,Coldest Winter Boot Campは続く...2ターン以降に導入される増援・空襲・侵攻上陸、第三次世界大戦への緊張度について_b0173672_15144815.jpg
▼では、最初は低くレベル設定しておいて、様子を見ながら増援レベルを上げようかと考えるだろうが、そうは問屋が卸さない。
 例えばレベル3にしておいて、更なる増援が欲しいとレベル4に上げたとする。
その場合、下の表の「拡大介入レベル」を見て貰えば分かるとおり、最初からレベル4であれば第5ターンに貰えた増援J(以降)が、第7ターンからと、貰いが2ターン(2ヶ月)遅延することとなる。
それゆえ、最初から4を基準として考えておいた方が良さそうだ。
➌(VG)The Korean War,Coldest Winter Boot Campは続く...2ターン以降に導入される増援・空襲・侵攻上陸、第三次世界大戦への緊張度について_b0173672_15144832.jpg
▼次に重要なのが、「UNルール・オブ・エンゲージメント=空襲許可範囲」である。
 このゲームでは歴史的興味の為に機種とシルエット入の航空機ユニットが用意されているが、実際には全てこの航空マップ上でマーカーとして配置され、直接ヘクスに航空支援などと言って呼び寄せるわけではない。
 空襲許可範囲とは、この航空マップのどこまで航空機を置けるかを言い、レベル1だと38度線以南(要は韓国内限定)、レベル2だと北端4地方を除いた全て、レベル3だとソ連国境に接する北東端ハムヨン-プクト地方を除いた全域、レベル4でマップ上全ての地域となる。
➌(VG)The Korean War,Coldest Winter Boot Campは続く...2ターン以降に導入される増援・空襲・侵攻上陸、第三次世界大戦への緊張度について_b0173672_15153388.jpg
▼許可レベル2では空襲が許されない北端4地方。
 北鮮軍前線基地の補給獲得に大打撃を与えられる、投入された航空阻止値×5倍のエリアが含まれるのもさりながら、中共軍が大挙して南進してくる時に必ず通る最初のエリアで路上移動妨害できないのが痛い。
その為、増援で航空機が溜まってきたなら許可レベル3に上げたい(増援と異なり、上昇による罰則的なものはないが、当然、大戦危険度は上昇する)。
➌(VG)The Korean War,Coldest Winter Boot Campは続く...2ターン以降に導入される増援・空襲・侵攻上陸、第三次世界大戦への緊張度について_b0173672_15161896.jpg
▼具体的な配備例。許可レベル2として、一つのエリアに4枚まで航空機を派遣できるので、補給阻止と路上移動妨害(上限となる4枚の航空機が置かれた地方の道路移動コストは北鮮軍にとって0.5MPではなく1MPとなる)を考慮して置いた。
 補給阻止に関しては、航空機の右下の阻止値を各地方毎に掛け算したものを総合して補給修正(インターディクション)表でゼロから△7までの北鮮軍補給受領修正値を求める。
 この例で言えばハムヨン-ナムドで16×3=48、カンウォン-プクトで7×3=21、ハンガンで3×3=9、チョンジョンで4×1=4の総計82でダイスを振り、その結果として△1~△6が得られる。
 また、それと同時に、航空機4枚が置かれたエリアには、オレンジ色の「路上移動制限」マーカが置かれて、これらエリア内での北鮮側道路コストの増大が表示される。
➌(VG)The Korean War,Coldest Winter Boot Campは続く...2ターン以降に導入される増援・空襲・侵攻上陸、第三次世界大戦への緊張度について_b0173672_15153202.jpg
▼航空マップに置かなかった航空機は対地支援に投入されたと見なされ、航空機ユニットの左下に記載された支援値の合計が、そのターン全体で使用できる戦闘支援回数となる。
 勘違いしやすいが、ある航空機が2支援値を持っているからと言って、戦闘解決に直接それを飛ばして、ダイスを2修正する事なんてできない。
あくまで1つの戦闘には1しか修正を与えられない。攻撃時にダイス修正プラス1か防御時にマイナス1かである。
 下の例で言うと、3ユニット投入で、支援できる戦闘が、そのターン全体で6箇所となるわけだ。
 なお、中共軍が介入した後の2ターンの間は、対地支援に投入できる航空機が3枚までに制限されるので、下の例が上限ともなる。
➌(VG)The Korean War,Coldest Winter Boot Campは続く...2ターン以降に導入される増援・空襲・侵攻上陸、第三次世界大戦への緊張度について_b0173672_15153262.jpg
▼国連軍は、第2ターン第2行動フェイズの冒頭に「USモビライゼーション=侵攻上陸/海上撤退可能数」を決定しなければならない。
このレベル=行動フェイズ毎に侵攻上陸/撤退可能回数となる。
 1回の侵攻上陸は1アクションと見なされ、1回(1箇所)につき1個師団(相当)まで上陸できる。

 上陸は矢印で指定された上陸可能ヘクスにのみ行え、敵がいなければ無血上陸で何の判定もいらないが、敵前上陸だと上陸戦闘を解決しなければならない。
 戦闘結果表は前掲記事➊の当該写真を参考にしてもらいたいが、上陸戦闘は最低比が3-1であるほど厳しく、ユニットのアクション数を使えないので、+2や+3といった全力攻撃的な修正と、通常の陸戦ではないので戦車効果は得られない。
ただし上陸支援値として遡行禁止範囲内でなければ+4が基本として得られ、これに航空支援+1を加えての+5が上限となる。
 具体例を挙げてみよう。史実の失敗を知る北鮮軍は仁川に1個師団を配して蛸壺陣地化していた。敵支配の港湾を北鮮軍が占領すると自動的に港湾守備隊が湧くので、何の制限もなければ師団の防御力7の蛸壺効果1.5倍で11となり、これに守備隊の3防御力を足して14となる。
 国連軍最強のUS海兵師団は26攻撃力なので、2-1には2足らず1-1となるが、どうせ上陸戦闘の最低比は3-1なので、どちらにせよ最低比攻撃に変わりはない(戦車アセットの代わりに歩兵アセットを海兵師団に2つ乗せれば一応、比率も上げられたし、ステップ吸収の弾除けにもできるのに留意)。
前掲記事の戦闘結果表を眺めてもらえば分かるが、最低比だと最高の出目9を出して+5して14としても「Dr2」であり、退却無視して1ステップロスを追加しても3ステップロスであり、1個師団3ステップロスして全滅しても、4ステップ目の守備隊が残るので、絶対に一撃で上陸は成功しない。
それどころか下手をして出目0であれば、+5して5になっても「A2」で海兵は最低ステップとなってしまう。
ただし上陸できなかったとしてもそれ以上の罰則はなく(他のゲームのように上陸できなければ全滅とかではない)、単に増援投入可能ボックスへ戻るだけである。
 ただし大抵の場合、空襲効果で北鮮ユニットは補給切れ=防御力半減になる事が多く、この例に適用するなら、守備隊の3こそそのままだが、師団防御力は3.5切上の4が蛸壺効果1.5倍で6となり守備隊の3を足して9。
海兵師団の26攻撃力なら2-1、歩兵アセットを乗せていれば3-1も可能だが、どちらにせよ師団が陣地を築いて港を守っていると、強襲上陸はやらない方が良いと分かる。
 ちなみに防御においては戦車効果値と対戦車値は防御側を有利にすることはなく、相手の戦車効果値を減少させる効果しかない事に注意。
特に上陸戦闘では上陸側も戦車を使えないので考慮の必要がない。
 また港湾守備隊は北鮮軍が占領/奪回した港にしか湧かないが、補給や陣地の修正も適用されず、他の共産ユニットとスタックしても吸収されたと見なされて除去されるなんて事も無い、非常に厄介な存在。
➌(VG)The Korean War,Coldest Winter Boot Campは続く...2ターン以降に導入される増援・空襲・侵攻上陸、第三次世界大戦への緊張度について_b0173672_15500226.jpg
▼もう一つの上陸例。意外と疎かになるのが北鮮首都ピョンヤンの守りで、チンナンポ港への無血上陸が結構起きる。
ちなみにチンナンポ港への上陸では大艦隊が遡行できないので、上陸戦闘艦砲支援の+4が得られないことに注意。
 上陸戦闘が生起しようとしまいと上陸に成功した部隊は活性化済みとはならず、活性化数が残っていればアクションも許される(補給に関しても上陸した行動フェイズの間は額面戦力は変化しない)。
ただし、港に上陸した部隊こそ通常通り3アクション・ポイント貰えるが、港でない場所へ上陸した部隊は2アクション・ポイントに限定される。さらに移動に関しては1アクション・ポイントにつき1ヘクスしか動けない。
 下の例で言うと、チンナンポ港に揚がった海兵師団は移動にポイント全てを注ぎ込んで3ヘクス移動できるだけである。
 また、国連軍未支配だった港には守備隊が置かれない代わりに、(韓国内の北鮮占領港湾も含め)上陸後の港には機雷マーカが置かれ、各フェイズ開始時の掃海判定(出目0~3成功)にパスしないと、補給源と見なせない。
 下の例で言うと、勢い切ってピョンヤンへ駆け上ったものの、次の行動フェイズに掃海に成功しない限り、補給=コマンドはチンナンポ港以外へ辿る他なく、防御力半減は覚悟しなければならないわけだ。
 また、後述するが、過早に北鮮侵攻してしまうと、史実より早い中共軍の介入を招き、破滅的結果を呼び寄せることになりかねないので注意したい。
➌(VG)The Korean War,Coldest Winter Boot Campは続く...2ターン以降に導入される増援・空襲・侵攻上陸、第三次世界大戦への緊張度について_b0173672_15503260.jpg
▲港以外の上陸可能ヘクスへ上陸した場合、2つだけ用意された上陸堡マーカを配置して港(補給源)と見なすことができる(上陸堡を置かない選択肢も当然あり)。
 また、港ではないので機雷がバラまかれないのも利点と言える。

by ysga-blog | 2016-02-17 23:08 | 【Korean War/朝鮮戦争全般】 | Comments(0)
<< ➋(VG)The Korean... ➍(VG)The Korean... >>