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(GMT)「Ukraine 1943」 対戦速報
山内 克介 この記事は、YSGA会員専用メーリングリスト「YSGA-ML」に掲載されたプレイ報告をまとめたものです。 本記事を読んで、この名作に興味を持っていただけたなら幸いです。 ◆20世紀の神話 ”Ukraine 1943” 俊英デザイナー、マーク・シモニッチ氏が、(AH)"Hannibal"以来、5年の沈黙を破って遂にリリースした話題の新作(GMT)"Ukraine 1943"ですが、先日の土曜日に4人で7ターンまで、そして月曜火曜に泊り込みで、4人で13ターンまでプレイしてきました。 それで感想なんですが、ちょっと簡単には説明できないほど、全てにおいて完成度が高いです。 いまだに感動の余韻(知恵を振り絞りきった心地好い疲労感)に浸っています。 プレイに参加した5人(土曜と月火ではプレイヤーが1人入れ替わり)は、異口同音に、「総合的に見て、(GMT)"Barbarossa"シリーズの完成度を凌駕している。これをプレイすると、今までのどんな作戦級ゲームも色褪せて見えるほど。もしかすると20世紀のウォーゲームが辿りついた究極かもしれない」、「これこそ次世代を担うシミュレーションゲームだ」、「こんなゲームがプレイできるなんて、今までシミュレーションゲームをやっていて本当に良かった」と、感想を述べ合いました。 あまり軽々しく絶賛すると、かえって信憑性を疑われますが、ちょっとこの(GMT)"Ukraine 1943"の場合は、他に評すべき言葉が見つかりません。 最後に、これからプレイされる方に、ちょっとアドバイスを・・・
◆蒜(さん)たり!“Ukraine 1943” いまだ(GMT)"Ukraine 1943"の衝撃醒めやらぬところですが、またぞろ次の対戦が迫っていますので、取り急ぎ対戦レポートをアップしておきたいと思います。 私の拙文で、どれだけこのゲームの素晴らしさをお伝えできるか分かりませんが、この感激を誰かに伝えずにはおられません。 なお、知らない方も沢山いらっしゃると思いますので、対戦レポートの前に、まずは(GMT)“Ukraine 1943”の簡単な紹介をしておきます。(ただし現在手元に現物がない-翻訳者の所-ので、ルールと対戦経験による概要だけ)
ユニットの考証も正確で、SSダス・ライヒ~ヴィーキング師団の兵科マークは、ちゃんと装甲擲弾兵(装甲師団に昇格するのはのちの事)になっています。 また第6ターンに登場するSS騎兵師団には、「SS第8騎兵師団フロリアン・ガイエル」と名前が入っていないので調べてみたら、43年10月22日に上記の正式名称が与えられたのであり、それまでは単に「SS騎兵師団」と呼ばれたと判明。 唯一の考証ミスは、ソ連の自走砲旅団のイラストがSU-100になっている事ぐらいでしょうか。ただし車種はゲームに関係ありません。 もし日本でライセンス化するなら、イラストとしてはSU-76MまたはSU-122短砲身が妥当でしょうか? 皆様の御意見は如何でしょう? (ちなみにSU-85の生産開始は1943年夏からで、このゲームに登場する3個旅団全てが装備するには早過ぎるように思われます) ヘックスの規模は10マイル(約16㎞)、1ターンは5日間です。 コンポーネント的には、フルマップ1枚と8ヘックス幅の追加ミニマップ、ユニット280、ルールブック (シナリオ4本、歴史背景、デザイナーズノート、ディベロッパーズノート、プレイヤーズ・ノートと至れり尽くせり)、見開きチャート2枚(裏面は史実配置による第1ターン目のリプレイ兼戦闘例をフルカラーで!!もう嬉し過ぎます)、史実セットアップ用戦闘序列表(本来は、決められた配置エリア内に両軍が交互に配置していくもの。しかしヒストリカル・ゲーマーと、フリーセットアップなんて面倒っちぃと思う人の為に史実配置表も用意する気の配りよう) ゲーム・シークエンスは、以下の通り。 ソ連軍プレイヤーターン (1) 7ターンからの天候判定 (2) 6ターンからのソ連中央方面軍進撃チェック (マップ北端からのソ連軍登場ヘクスがウクライナ戦線の戦況に関わらず前進する) (3) ソ連軍燃料欠乏チェック (4) ソ連砲兵回復 (5) ソ連空軍回復 (7) ソ連軍第1移動フェイズ (8) ソ連軍第1戦闘フェイズ (9) 独軍リアクション・フェイズ(3スタックのみ) (10) ソ連軍突破移動フェイズ (11) ソ連軍第2戦闘フェイズ (12) ソ連軍終了フェイズ (ソ連の混乱マーカ除去、補給/消耗チェック、鉄道修理、舟橋完成/撤去、 サポロジェ・ダム破壊の順番で解決) 独軍プレイヤーターン、上記(4)~(12)を陣営的に逆に読んで実行。 戦闘結果表は、最低1-3から1.5-1を含んで、最高5-1までという一見、単純なもの。 しかし実際にプレイしてみると絶妙に設定された戦闘結果表に、プレイヤー全員が泣き笑い。 戦闘結果の傾向としては、あくまで退却主体であって、大出血型ではありません。ただし、シモニッチ氏お得意の防禦側ステップの多少による付加損害によって出血を強要できます。 もちろんこの場合、自軍も出血します。 また、移動していないジューコフ元帥の4ヘクス以内では、ソ連軍が1ステップ犠牲にする事で参戦規模(マグニチュードと呼称)を1増加させることができます。 攻撃側は戦闘結果によって要求された損害を、最強戦力のユニットから適用しなければなりません(参戦規模による付加損害では制限なし)。 この為、当初は暴れ回れる独軍装甲師団やソ連戦車軍も、暫くすると全て半減面となり、全滅を恐れて積極攻勢や反撃を躊躇しだします。 地形効果は、合計防禦力にプラスする単純なもの。ただし合計防禦力の2倍を越える事はありません(例えば都市は+5貰えますが、トルクメン義勇兵の3防禦力では、8ではなく6防禦力にしかなりません)。 なお、都市と陣地に対する攻撃では、戦闘結果(色付サイコロを振ります)のサイの目が1~4であると、攻撃側は追加1損害を出さなければなりません。ソ連軍には町~都市、陣地攻撃に1シフトを与える工兵旅団(サッパー/対壕)がいますが、追加損害を受けると必ず犠牲に供されます。 独軍には3個の装甲軍団ボックスとマーカーがあり、攻撃時1シフト、防禦時+2戦力を提供してくれます。ボックス内には独軍のスタック制限通り3個師団と第506重戦車大隊(攻撃時1シフト、防禦時2戦力)または1個突撃砲旅団(攻撃2、防禦1戦力のZOCなし部隊なれどステップ損害の吸収に有用)が置けます。 なおSS第2装甲軍団の場合、最低1個師団はSS装甲擲弾兵師団が入っていなければ、国防軍の機械化師団は入れません。 ソ連軍の場合、軍ボックスとマーカーは極めて重要で、スタック制限を増加させる能力があり、攻撃防禦とも2戦力を追加してくれます(独軍と違ってシフトは貰えません)。 絶妙な弱ZOC(離脱に+2移動力)と、進入禁止ZOCボンド・システムで、プレイヤーの頭脳をフル回転させること間違いなし。 普通のゲームでは完全に包囲されているようでも、味方がうまく隣接できれば救出したり、補給/連絡線を繋げたりができる。 本作のデザイナー、シモニッチ氏から事前に英文ルールを送ってもらっていたので、既に和訳ルールは完成していたものの、肝心の現物を16個とも全て船便で注文していたので地団太踏んで悔しがっていました。 ところが、7月22,23日のYSGA例会に初参加されたHMさんが本作を航空便で手に入れたと聞きつけ、相談を持ち掛けたところ、快く貸して下さり、急遽初プレイが決定しました。 これを受けて和訳ルールを有志6人に配布し、当初3人でプレイする予定が、当日になって「是非私も」と1人増え、4人で初プレイを行ないました。 担当は、ソ連軍北部:HM氏、ソ連軍南部:私、独軍北部:SB氏、独軍南部:本作の翻訳者YG氏。 事前に史実セットアップをしていてくれたので、4人集まって和訳ルールの疑問点を協議の後、すぐにプレイ開始。 (以下、字数削減の為に「である調」に変更させていただきます) ソ連軍の主力は第5親衛戦車軍マーカと第1戦車軍マーカを有するハリコフ前面のソ連軍北部であり、史実通り(っていうか主要鉄道に沿って前進する為)ハリコフを奪取を目指して大攻勢。 しかし、前線の要塞線に篭る歩兵師団を粉砕して独戦線後方へ突破したものの、即座に独軍第48装甲軍団に反撃される。それにもめげずハリコフへ肉薄するソ連2個戦車軍団、そこへさらに独軍南部から第3装甲軍団が駆けつけ、ソ連2個戦車軍対ドイツ2個装甲軍団による熾烈極まる攻撃の応酬。 史実では「1個軍を失うぐらいなら、都市1つを失う方がマシだ」とハリコフを放棄する事に決めたドイツ南方軍集団司令官のマンシュタインだったが、SB氏演じるマンシュタイン(マーカー)は、直接ハリコフに乗り込み、7ターンに渡って1歩も引かずにハリコフの攻防戦を戦い抜いた。 (コマンド誌14号)「リング・オブ・ファイア」で、過激なまでに描かれた43年夏の第4次ハリコフ戦だったが、このUkraine 1943をプレイして初めてその全体像を掴む事ができた(Ukraine 1943でのハリコフ戦を見ていて、私は無性にリング・オブ・ファイアがやりたくなった)。 この結果、2度ハリコフに隣接したソ連軍であったが、その度にドイツ軍に手痛い反撃を喰らって一時は独軍圧勝に見えたが、着々と補充と増援を集結させていたソ連軍北部プレイヤーのHMさんは、途中からハリコフ戦を偽瞞陽動と位置付け、独軍左翼の突出部から第2次攻勢を発動。 これの対応に苦慮しているうちに、いつのまにか復活したソ連2個戦車軍がジューコフの指導(身を捨てて、敵に出血を強要)の下、ドイツ第48装甲軍団に襲いかかり、一挙に3ステップロスを与えて軍団内の全師団が半減面とされた。 それまでの戦闘では、ドイツ装甲軍団を恐れる余り、軍団に対して直接攻撃をかける事はなかったが、反撃を受け続ける内に独軍の主力を消耗させなければ戦争に負けると判明し、こちらも自軍の損害を嫌って活用していなかったジューコフを呼び寄せての激突となった。 かくして、遂に独軍北部戦線は破断界を迎え、「第4次ハリコフ戦での活躍が夢のようだ」と呟きつつ、独軍の撤退が始まったのであった。 この間、ソ連軍南部では、イジェム突出部からの突破が、SS第2装甲軍団の驚異的活躍によって粉砕され、ドネツ鉱山地帯に対する正面攻撃は、低比率(1対1~1.5対1)ながらも絶え間なく続けられるも、武運拙く(4回も最悪のサイの目(1)に見舞われ)犠牲ステップの山を築くばかり。 最後の手段として第5打撃軍に、親衛騎兵軍団と陣地師団(ちなみに打撃軍ボックスには機械化軍団は入れない。ただし戦車/自走砲旅団はOK)を入れて攻撃したところ、なんとか陣地線突破に成功。そのまま、南下してタガンローグの奪取を目指すといったところで夜8時となり、この第7ターン終了までとした。 その後、4人でファミ・レスに行き、このUkraine 1943について話し合いましたが、2時間かけても話題が尽きる事がありませんでした。 あらゆる点において至れり尽くせりの(GMT)Ukraine 1943では、まだまだ書き足らない点ばかりですが、そろそろ腕が疲れてきたので、取り敢えず今回はここまでということで‥‥‥。 いや~、いかんいかん。もうちょっと、書かなきゃ。 初めての対戦が終わってから、各自ルールを読み直したところ、大変なルールミスを発見!。それは『第1ターンの独軍リアクション・フェイズでは奇襲効果として、通常の3スタックではなく、1スタックだけしかリアクションを行なえない』と判明。愕然とするプレイヤー達。 最初のプレイは、あくまでテストプレイと割り切って、気を取り直したメンバー等は、この対戦の2日後、副会長宅に泊り込み、第13ターンまでプレイした。 そのプレイでは、やはりリアクション・スタックの制限により、第1ターンに独軍戦線4ヵ所に大破口が穿たれ、慌てた独軍はハリコフを早計に放棄。 陣地線を抜かれた独軍が頼りにするのは、細々と流れる小河川のみで、ZOCボンドの形成に腐心する独軍北部プレイヤー(私)が、独軍南部から兵力を抽出してもらった為に、今度は南部戦線が破綻。 その上、趣味に奔ってトルクメン義勇ユニットやSS騎兵師団を前線に投入したところ、かえってそこにソ連軍が尾け込んで北部戦線の崩壊を招く羽目に・・・ かくして、第8ターンに破断界を迎えた独軍戦線は、劇的なまでに崩壊し、ドニエプル河目指して大敗走。独軍北部ではドニエブルを渡れたのは減少面の装甲師団だけという有様。しかし、これによりソ連軍は鉄道修理の進捗が追い付かず、結果として戦線は安定することとなった。 その間、独軍南部では、秩序立った後退でサポロジェ、ドニエプロペトロフスクに到達するも、もぐら叩きのように随所でドニエプルを渡河してくるソ連歩兵の対応に追われて機動予備を奪われる結果となった。 ヴォータン陣地線(陣地未完)を抜かれて、急いでニコポリ防衛線の構築に入らざるを得なくなった独軍は、南部に増援のソ連第3親衛戦車軍が派遣されたのを受けて、サポロジェ外周陣地からサポロジェ市街へと撤退。ルーマニア師団を含む3個師団で死守を命ずるも、第13ターンに一斉攻撃を受けてあえなく陥落(退却を要求されて、ドニエプル河で溺れた)。 同一ターンに北部でクレメンチョークを放棄していたのが祟って、ソ連軍のサドンデス勝利(ターン毎にソ連軍獲得基準VPが決められており、基準VP+6だとソ連勝利、-6だと独軍勝利で即決終了する)が決定した。 プレイが終わると同時にソ連軍プレイヤー2人は、その場に倒れ伏して昼寝するほどの知的疲労ぶり。独軍プレイヤー2人は、呆然としつつも敗因の検討に入った。 その後、ファミ・レスで2時間話し合い。この3日で、合計6時間以上もUkraine 1943について話し合ったが、全く尽きせぬ話題に、その完成度の高さが伺われた。
なお、プレイ中はノートPCでコンシム・ワールド(ConsimWorld.COM)内「Ukraine 1943専用会議室」の138発言を読みつつ、頷いたり笑ったりと大忙し。 一番面白かったのは、「キャンペーンゲームは大変すぎやしないか?」というコメントに対する発言で、『真の男ならキャンペーンゲームをやれ!』というもの。 お前は、キャプテン・ハーロックかッつーの!! ※今後、シモニッチ氏信奉者の事を『シモニスト』、シモニッチ氏のような細部にまで完璧に配慮する精神(デザイン思想)の事を『シモニズム』と呼称しましょう! #
by ysga-blog
| 2001-01-01 19:31
| (GMT/CMJ60)ウクライナ43戦記
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白い死 「(GDW)WHITE DEATH」 のプレイ by S.Yamaguchi 「WHITE DEATH」の輸入元だったH社は,「赤軍大反攻 北方ウェルキエ・ルーキー包囲戦」という邦題をこのゲームに付けました。原題は(WHITE DEATH-Velikiye Luki,TheStalingrad of the North)であり,直訳すると「白い死-北方のスターリングラード『ウェルキエ・ルーキー』」となります。原題では,同時期に南方で行われていた「スターリングラード包囲戦」に対し,規模こそ異なるものの,ウェルキエ・ルーキ包囲戦こそ北方における「小スターリングラード」というニュアンスを出しています。 このゲームには,テーマ的にもシステム的にも大変興味深いものがあるのですが,一般的ではないシステムのわりには解説書があっさりと書かれていて,やや説明不足であると感じられる部分も少なくありません。そのせいかあまりプレイされている様子も無いようです。かつて「シミュレイター創刊第2号」では「プレイ不可能」というような紹介もなされました。 この小文では,このような不明点をできるだけ解決することを目的とし,あわせてErra-taの反映,追加ルールの採用,ルール変更の提案などを折り込んでありますので,プレイのご参考にしていただければ幸いです。 なお,ルールの曖昧な点については,続編ゲーム「スエズ73」のルールに照らし合わせた上で解釈するという方法をとりました。これは,基本的に同じシステムでつくられたゲームは,多くの場合,前作での問題点を解決してあるという希望的観測に基づいています。(ただし,「スエズ73」は,ルールが一層複雑化したためにプレイが困難です。) 1.Errata and Clarifications 筆者の所有する「ホワイト・デス」には,標記の正誤表と解明が添付してありました。 その大部分は日本語解説書(以下は全てH社のものによる)の方にも反映されているようですが,どういうわけか抜けている項目がいくつかあるので以下に列記します。 ○カウンター ドイツ軍 ・捕獲されたT-34で編成された1個中隊の部隊番号は,「2/60」ではなく「2/66」です。 ・Ⅰ/55ロケット砲大隊の弾幕力は,「30」ではなく「20」です。 ・3/5 スキー猟兵中隊と第459 SS突撃砲中隊のカウンターの裏面が相互に逆になっています。 〔*訳注 「シミュレイター創刊第2号」では理由不明となっています。〕 ソヴィエト軍 ・部隊番号表示が抜けているオートバイ狙撃兵大隊は「68」です。 ・第257 狙撃兵師団に所属するⅢ/793 砲兵大隊の支援力は「3」ではなく「2」です。 ・第1124狙撃兵連隊は「第334 狙撃兵師団」に所属します。「第34」ではありません。 ○セットアップ・シート ・ドイツⅡ/47砲兵大隊の配置する場所が抜けています。この大隊はArko 103の構成部隊ですが,第331 歩兵師団に随伴していました。 〔*訳注 したがって,師団所属ユニットではありません。〕 ・ドイツ第3山岳歩兵師団のⅢ/112 砲兵大隊の配置には,いくらか混乱を招くおそれがあります。この大隊は第3山岳歩兵師団に所属していました(それゆえに所属する師団の番号をもっています。)が,管理上Arko 103に割当てられていたため,セットアップ・チャート上のArko 103のボックスに置かれます。 しかしながら,セット・アップの際に第3山岳歩兵師団の全てのユニットが必要とされる場合には,この大隊は同師団の戦区内に配置されることになります。 ○ソヴィエト軍増援到着表 ・これにはちょっと焦ります。ⅡターンからⅥターンまでにソヴィエト軍が受取る補給ポイントは,チャート上の数値ではなく,各ターンにつき3ポイントです。 ○ルール ・15:ユニットの補給と孤立の状態は,各イムパルスの最初に決定します。 *以上が日本語解説書に反映されていない項目の翻訳です。ソヴィエト軍の補給ポイントの訂正など重要な部分も多いので,ぜひともこれらを組込む必要があると思います。 2.追加ルール 今は亡きTACTICS 誌第6号の「内外ゲームガイド」のコーナーに,「ホワイト・デス」について書かれた同誌における唯一の記事があります。ここではソヴィエト軍が第Ⅰターンの第1イムパルスに全ての移動ポイントをつぎ込む作戦が記されており,これに対抗する手段として,デザイナーのフランク・チャドウィックによる追加ルールが紹介されていたので以下に再掲します。 「Lowatj川より西にあるすべての町ヘクスには,最初から守備隊がいるものとします。これらの守備隊は,戦力が1で,防御射撃のみに使える戦闘力4を持ちます。ただし,対戦車力はゼロで,ZOCもありません。攻撃された時には兵員(Pers)として扱い,士気チェックを受けることはありませんが,損害がでれば除去されます。ドイツ軍ユニットがすでにいる時は,守備隊の防御射撃は行われませんし,そのドイツ軍ユニットが撃破及び撃退されれば,守備隊も自動的に消滅します。また,当然のことですが,一旦ソ連軍に占領された町ヘクスにこの種の守備隊が復活することはありません。」 3.ルールの不明点について 以下にルールブックの不明確な部分の筆者自身の解釈について,その根拠などに触れながら説明します。(以下の文章はH社の日本語解説書に基づいています。) 1戦 闘 前記「シミュレイター創刊第2号」の記事では,戦闘のルールが不明確なためにプレイができないことになっています。 このゲームの戦闘は簡単に言うとメイアタックで攻撃の前に防御側の反撃があり,その後に攻撃を解決します。攻撃目標となるヘクスは常に1ヘクスですが,攻撃側は複数のヘクスから当該ヘクスに対して「襲撃」を宣言することができます。攻撃側の「襲撃」に先立ち,防御側による「防御射撃」が行われます。戦闘力はそのユニット固有の戦力にステップ数を掛けたものですが,防御力はユニットのタイプによって,一定の地形において一律(AFVを除く)となります。つまり,ステップ数が防御力に影響しないことでもわかるように,攻撃と防御が完全に別の概念となっております。AFVはそれぞれの車種により固有の防御力を持っています。 さて,「シミュレイター」の記事に出てくる,「射撃」における火力の振分けについてですが,筆者は次のように解釈しています。通常戦闘における「防御射撃」の場合を例にとりますと,多くの場合「襲撃」をかけてくるユニットは複数であり,かつ複数のヘクスに存在する状況となります。 したがって,防御側の「射撃力」を全ての攻撃側ユニットに割当てることは困難です。ルールでは「襲撃を行おうとしている全ユニットは,その襲撃目標であるヘクス内の全敵ユニットから,射撃され得ます。」となっています。 これを防御側から解釈すると「襲撃目標ヘクス内の全ユニットは,襲撃を行おうとしているどのユニットに対しても射撃できます。」となり,極端に言えば,攻撃側の特定の1ユニットに対して,全射撃力をもって「射撃」を実施してもかまわないことになります。(当然,他の無視された「襲撃」ユニットは何の影響も被りません。)ただし,ルール9のCの3にもあるように「標的ヘクス内のすべての火器ユニット(重火器も軽火器も)は,同じヘクス内のどの兵員ユニットに対する戦闘力よりも少ないか,又は等しい戦闘力比で,射撃されなくてはなりません。」という例外があります。 また,前掲のルールには続きの文章があり,「標的ヘクス内にいる各兵員ユニットが射撃を受けないのなら,同じヘクス内の火器ユニットも射撃を受けません。」となっています。実はこの訳文にはやや問題があるように思います。原文では下線部の「各兵員ユニットが─」の部分は,at all unless each personal unit is attacked.であり,直訳すると「ともかくも,それぞれの兵員ユニットが射撃を受けないのなら,」となり,文意としては「あるヘクスに存在するすべての兵員ユニットが射撃を受けない場合は,同じヘクス内の火器ユニットも射撃を受けません。」となるのではないでしょうか。この表現は明らかに1スタックの中の特定のユニットに対して,射撃力を集中するようなケースを想定して書かれています。(ただし,「ホワイト・デス」の続編ゲームである「スエズ73」では,「最小射撃値」というルールがあり,それによると「可能ならば,標的ヘクス内の各大隊ユニットは,少なくとも5の射撃値で射撃されなくてはなりません。もし,これが不可能であるならば,射撃を好きな様に振り分けて構いません。」となっています。) なお,通常戦闘において戦闘比が1:3に満たない場合(例えば上記のような射撃力の割当てを行った後にあまりにも小さい数字が端数として残るケース)は,そのような端数は切捨てるということでしょう。 ルール9のCの4「戦闘の解決」において,「防御側ユニットは,通常戦闘の結果,その残存戦力の半分を上回る戦力損失を被ることはありません。」となっていますが,士気チェックに失敗して「潰走」の結果を被った場合の1戦力の追加喪失,並びに退却の際に敵「制圧ゾーン」内を通過することによる場合の1戦力の追加喪失は,これとは別にカウントすると解釈するべきでしょう。(つまり,上記のような条件が重なった場合,1度の戦闘で完全戦力の部隊が壊滅することも十分に起こり得ます。これは,戦闘における「包囲」の重要性を高めることにもなります。) 2砲兵隊 砲兵隊の運用は,このゲームのセールスポイントでもあります。ルールでは「支援射撃」と「弾幕射撃」を全く別の射撃として扱っております。砲兵隊が間接射撃によりAFVユニットを射撃できるのは「弾幕射撃」だけです。なぜならば,「支援射撃」は「通常戦闘」における「通常戦闘力」に「支援力」を加えるように規定されているからです。 また,「支援射撃」は攻撃時と防御時の両方で行えますが,防御時においては1補給ポイントを消費しないと支援力が一律に「1」となってしまいます。(攻撃時つまり「襲撃」を行うユニットに対する「攻撃支援射撃」には,余分に1補給ポイントを消費する必要がありません。これは,「襲撃」を宣言したことにより消費される1ポイントの中に含まれているということでしょう。) さて,砲兵隊の射撃において射程距離は重要な意味を持っています。射程の半分を超えるユニットに対する「支援力」あるいは「弾幕力」は半分になってしまうからです。 「支援射撃」における射程ヘクスの数え方は,攻撃時においても防御時においても,常にその「支援射撃」を受ける友軍ユニットまでの距離になります。一方,「弾幕射撃」における射程ヘクスの数え方は,実際に弾幕射撃を受ける目標ヘクスの敵ユニットまでの距離になります。ルールでは明記していないのですが,射程ヘクス数とは砲撃を行うユニットのいるヘクス(含めない)から,目標ヘクス(含める)までと定義するのでしょう。 この「支援射撃」における射程の数え方は,SPIの「西部戦線シリーズ」などの砲兵ルールに見られるように,常に攻撃を受けるユニットまでの距離(攻撃時は敵ユニットが存在する防御ヘクスまでの距離とし,防御時は支援を受ける自軍ユニットのいるヘクスまでの距離を数える。)とした方がシンプルだと思いますが(このようにすると,攻撃時には砲兵隊ユニットをより前線に接近して配置させる必要があります。),ルールどおりと解釈すべきでしょう。ただし,「スエズ73」では「支援射撃」における「射程」の概念を以下のように変更しています。「砲兵ユニットは,その射程内にある標的ヘクスに対する他の友軍ユニットの通常射撃を,支援することができます。なお,砲兵ユニットの通常射撃値は,射程の半分を超えると,半分になります。」 3制圧ゾーン H社の日本語解説書の訳語に従いましたが,「制圧ゾーン」とは一般的に言う「支配地域」あるいは「ZOC」のことです。 このゲームでは,ZOCのルールもやや説明不足なところがあります。ZOCは部隊の移動,戦闘,補給などに影響します。移動の際に部隊が敵のZOCに侵入したら停止するというのは良いのですが(例外有り),戦闘で退却する際に味方ユニットの存在するヘクスは,敵のZOCの効果を打ち消すのかどうか(これは「1戦闘」の最後に述べた,部隊の追加喪失にかかわってきます。),あるいは補給線を設定する際も同様なことが言えるのかどうかがルールに触れていません。筆者はルールに無い以上はどちらも不可と解釈しています。(ただし,「スエズ73」では,補給線の設定においては,友軍ユニットの存在が敵ZOCの効果を打ち消すとなっています。退却の際のZOCの効果についてはやはり触れていません。このゲームでは「士気チェック」のルールがなくなり,退却(ルールでは「撤退」)はプレイヤーの任意となったのです。) 4イムパルスの種類 ルール5:ゲームの手順「イムパルスの種類」について述べます。イムパルスには実行イムパルス(3以上の移動力を消費しなければならない。)とパスイムパルス(1移動力だけを消費する。)がありますが,パスイムパルスの定義がよくわかりません。「パスイムパルスでは,当該プレイヤーは1移動力だけを消費し,弾幕攻撃と鉄道移動のみを行います。」となっています。これだけ読むと,弾幕攻撃(射撃)と鉄道移動はパスイムパルス中でないと実行できないようにも解釈できますが,「弾幕射撃を行う場合に2補給ポイントを消費すれば,同じインパルス中に何個のユニットが弾幕射撃(及び襲撃)を行っても構わない。」となっているので,当然ながら実行イムパルス中に弾幕射撃を行えることになります。しかも,「弾幕射撃を受けて士気チェックに失敗した防御側ユニットは,そのイムパルスの間中,防御射撃を行えない。」という重要なルールがあるため,パスイムパルスに弾幕射撃を行うということは,単に相手(トーチカやAFVユニットなどで,当該イムパルス中には攻撃目標とはしないようなユニット)の戦力を消耗させるために貴重な2補給ポイントを消費させるという場合だけです。 同様に,鉄道移動についても,実行イムパルス中に行っても支障は無いと考えられます。よって,「ソヴィエト軍は各イムパルスにおいて,可能であるならば,最低3移動力は消費しなくてはならない。」という規定だけしておけば,イムパルスを2種類に定義する必要はないと思います。(ただし,相手に先に移動力を消費させてしまうためにパスイムパルスを行うといった作戦は,成り立ち得ます。)因みに「スエズ73」には,イムパルスの種類はありません。 4.ルール変更の提案 ソヴィエト軍の「短機関銃歩兵」についてルールの変更を考えてみましたのでご紹介致します。 ●ソヴィエト軍の「短機関銃歩兵」 ルール21:特別ユニット A.白兵戦ユニットの項に追加 ソヴィエト軍の「短機関銃歩兵」ユニットは,所属が同じ部隊(戦車旅団)のAFVユニットとスタックして移動する場合,敵ZOC内に入っても停止する必要はありません。また,敵ZOCから移動を開始する際に,追加1移動力を消費する必要もありません。あたかもAFVユニットと同様に移動できます。「短機関銃歩兵」ユニットは決して対戦車射撃の目標にはなりえません。ただし,一緒にスタックしているAFVユニットが,敵ZOCから離れる際に敵ユニットの対戦車射撃を受けて1戦力でも損害を被ったら,ただちにそのAFVユニットと同じサイコロ修正による士気チェックを受けなければなりません。 もしも,この時スタックしている複数のAFVユニットが損害を受けた場合,全ての損害結果の合計と同じだけのサイコロ修正による士気チェックを受けなければなりません。この士気チェックは,AFVユニットが損害をうけたヘクス毎に行います。士気チェックに失敗した「短機関銃歩兵」ユニットは,そのヘクスで移動を終了しなければなりません。また,AFVユニットとは異なり,「潰走」の結果を受けた場合は追加の1戦力を喪失します。 所属が同じ部隊(戦車旅団)のAFVユニットとスタックして「襲撃」を行う「短機関銃歩兵」ユニットの通常戦闘力は,地形にかかわらず「3倍」になります。ただし,その際の防御力は「1/2」となります。 ○コメント ソヴィエト軍短機関銃歩兵は文字通り,PPsh1941短機関銃を抱えて戦車に跨乗し,敵陣地に突撃していく命知らずの精兵で,大戦中のソヴィエト戦車隊戦術の代名詞とも言える部隊です。1942年のこの戦いが行われた時点において,すでにソヴィエト軍がこの戦術を用いていたのかどうかは確証がないのですが,これらのユニットの移動手段は「T」であり,少なくとも装軌式車両は装備していたと考えられます。そのように判断すると,これらのユニットに臨時に装甲防御力を「1」程度与えて,対戦車射撃の目標となりうるようなルールも考えられます。その際は通常戦闘における火器ユニットと同様に,同一ヘクス内にスタックする全てのAFVユニットが対戦車射撃を受けなければ,短機関銃歩兵は対戦車射撃を受けないといった制限ルールが必要となるでしょう。 筆者は以前から,この短機関銃歩兵が敵ZOCを通過できないという理由で,AFVユニットに置いてきぼりにされてしまうことに不満を感じていたので,このような改定ルールを考案してみました。当初は分割ユニットにして実際に各AFVユニットに随伴させるようなルールも考えたのですが,できるだけシンプルな形にするべきであるということからこのようなルールになりました。(「短機関銃歩兵」という名称は,跨乗歩兵を意識して付けられたと思います。)戦闘力が3倍云々というのは誇張気味ですが,元々の戦力が低いのでたいした影響はないでしょう。また,この部隊の消耗率が非常に高かったことを反映させるため,損害を受けやすくしました。(これらの兵士の平均寿命は数週間と言われていました。) 5.最後に 「ホワイト・デス」もすっかり古いゲームとなり,今では手に入れにくくなってしまいました。1ユニットが大隊規模のゲームは部隊編成を細部まで再現でき,しかも適度の戦術性を持たせられるという利点があるため,楽しめるゲームが多いように感じられます。実際,「ホワイト・デス」に出てくる多数の独立部隊は,もう少し規模の大きいゲームでは恐らく省略されてしまうようなものばかりです。ドイツ軍は当初この方面に小兵力しか配置していなかったため,あらゆる雑多な部隊がかき集められて前線に投入される様子が良く分かります。観測大隊,ブランデンブルグ部隊などはこのゲームならではのユニットです。(それぞれの特殊ルールも!)また,砲兵部隊の重要性をひしひしと感じさせてくれる点でも希有なものと考えます。 コンポーネントは現在流行りの多数の色を使った派手なものではなく,淡く渋い色調で趣味の良さを感じさせます。まさにヴェテランゲーマーにお勧めしたい,東部戦線マイナー・ゲームのひとつです。 #
by ysga-blog
| 2001-01-01 18:28
| (GDW/CMJ96)ホワイトデス対戦記
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